「魔法使いのハーブティー(有間カオル)」感想
本屋さんの古本コーナーでフラフラしていたところ、タイトルに惹かれました。
表紙のイラストはアニメ調だけど、なんだか爽やかだからアリ。
裏表紙のあらすじには、こう書いてあった。
(主人公)が約束させられたのは———
「魔女の後継者として、真摯に魔法の修行に励むこと」
えー!面白そう!魔法の修行とか好きなんだよなーと思って買いました。
以下、感想。
結論から言うと私は好きではなかったので、読みたくない方はスクロールしないでください。
親戚をたらい回しにされている主人公が、夏休みの間、とあるカフェで預かってもらうことになった。
そのカフェのオーナーが魔法使いで、しばらく置いてあげる代わりに、魔法の修行をしなさいというもの。
この筋書きなら、すごく面白い話になりそうなのに、そうはなりませんでした。
読み始めて数ページで感じたこと。
とにかく描写がくどい。しつこい。読んでも読んでも話が前に進まない。
例えば登場人物の特徴的な説明を繰り返すのって連載物とかでよくあるけど、
それは前に読んだときの記憶を思い起こさせるために書くのであって、
一冊の本の中でしかも常に全面にいる主要人物に対して書くのは変だと思った。
あっさりした表現(○○色の瞳とか)なら多分気にならないのだろうけど、
癖のある表現を使うもんだから、個人的にはすごく気になった。
それと本題の「魔法の修行」に至るまでもすごく長く感じた。
読み終えて分かったことだけど、魔法というのはいわゆる魔法ではなかったから、
本当の意味での魔法を期待して読んでいたせいでそう思ったのかもしれない。
いざ始まった修行の内容も、薄い。
結局この物語における「魔法」っていったい何だったんだろう。
カフェのお客さんが抱えてている問題をオーナーが解決していくというストーリーの進め方からすれば、人を細かに観察して色々なことを察する占い師のコールドリーディング的なこと?
それとも主人公が魔法の修行をしていく意味からすれば、過去のトラウマを克服するための精神的な思考方法のこと?
最後までよくわからなかった。なぜなら、終盤の展開がヤバかった。
ずーっとほのぼのしたほっこり系ストーリーだったのに、残り数十ページというところでいきなり主人公やオーナーに躊躇なく暴力をふるい監禁する犯罪者が登場。
さらに心を許して信頼しきっていたオーナーや周囲の人物たちについて、「あの人たちは誰?」「今まで一体誰と一緒にいたの?」などのホラー要素をぶっこみ。
最終的には強引に丸くまとめていたけど、正直納得できなかったし後味が悪すぎる。
シリアス展開を入れるにしても、内容がハードすぎてひとつの物語としてまとまっていないように感じました。
しかし検索してみるとかなり高い評価を得ていたので、私が世間離れしているようです。